香港映画の代表作『インファナル・アフェア』。
temitaはこの3部作が大好きなんです。
3部ともに2時間を超える大作ながら、一秒たりとも観るものを飽きさせない構成。
そんな映画『インファナル・アフェア』のアラン・マック監督が手がけた本作。
これもまた納得の一本でした!
【あらすじ】
香港のなかでもトップクラスの業績と富を持つ株のブローカー・ロー(ラウ・チンワン)。
その成功は彼一人の功績ではなく、実は香港屈指のブローカーが集まる「地主会」の力添えがあったからだ。
そんなある日、ローは地主会のトップ・トンからの電話をうけるため、車を走らせるよう指示を受ける。
しかし不審なバンが尾行していることに気づくロー。
尾行から逃れるため逃げるが、途中交通事故にあう。
その調査の過程で、車や会社に盗聴器が仕掛けられていることを知る。
しかもローだけでなく、地主会にぞくする他4人にも同様に盗聴されていた。
決して表になってはいけない秘密がバレている可能性が…
【感想】
後半からのタネ明かしにひきこまれる!
アクションあり、株取引のスリルありの映画。
中盤からは株操作の話になってくるので、そのあたりが疎い私は少し焦りました。
が、心配無用。
わかりやすい演出がされているので、ついていけました。
ただ正直なところ、序盤の展開が単調で何度かドロップしかけました。
が、さすがあの映画『インファナル・アフェア』3部作のアラン・マック監督がてがけた作品。
後半のストーリーテリングにぐいぐい引き込まれました。
この2つが印象的
①警官のホー(ルイス・クー)の妻の監禁場所
「見えない状態」と「恐怖心」があると、どこでも犯罪現場になってしまうのかと意外な監禁場所でびっくり。
つきつめると、「匂いで気づいたりしない?」
なんて思ってしまいまいしたが、きっと恐怖心で鼻は役にたたないのかも。
②高性能の盗聴器
この盗聴器。
軍で使用されるほどの高性能品なんです。
最初登場したときは、あらゆる会話を取りこぼすことなく集めるためだと一人で納得。
しかし。
最後の最後にまた出てきます。意外な場所から。
そのときに、「高性能でなければいけない理由」に気づき震えます。
2組の夫婦の選択
まずはホー刑事の夫婦。
じつはマジメな(?)ホー刑事の妻が犯罪者なのです!
事件に気づきホーが問い詰めると、妻は逃げようと提案します。
ここで心はまったく揺るがない、マジメなホー刑事w
なんと妻を家の部屋に閉じ込め、夫であるホーが逮捕しているのです。
逃げずに罪と向かい合うことを選択したわけです。
かたやブローカーのロー夫婦。
こちらは夫のローが犯罪者になってしまいます。
同じく妻が逃走を提案。ローは受け入れ、高飛びの準備をしました。
それぞれの選択後の夫婦は全く別の道をたどることになります。
はたしてともにハッピーエンドを迎えられるのでしょうか?
2組の組織の大義名分
ブローカー・ローや地主会を盗聴していたのは、謎の男ジョー(ダニエル・ウー)。
彼の最終的な要望は銘柄「479」を500万株手に入れることでした。
しかしこの株。
地主会によると10年間で数回しか取引がなく、いわゆる「死に株」。
しかしこの株を500万株を手に入れないと、秘密が世間にばれてしう地主会はあせります。
「誰が売ってくれるんだよ?」と。
じつはこの株の売り手が、意外な売り手なのです!
わかった瞬間、
「なるほど!それであの演出だったのか!」と納得。
必ずしも皆、善の側面だけではない。
ときにはずる賢く、ちゃっかりとね!と教わりましたw
当初は男くさい、香港ノワール映画だとおもっていた『盗聴犯 狙われたブローカー』。
地主会、ブローカー・ロー、警察ホーも皆「自身の正義」を追求します。
しかしその先にみえたものは、「自己満足」。
一方を支えるために、一方に犠牲をはらう。
支えられた方からみるとヒーローですが、意図せず犠牲を払わされた方は忘れません。
そしてその記憶は脈々と受け継がれてしまうのです。
数々の伏線を回収した先に描かれた、
「それぞれの事件のその後」も見事に着地している映画『盗聴犯 狙われたブローカー』でした。
(っていうかアラン・ドロンの『サムライ』。気になるわーw)