全く無駄のない、秀逸な映画。
きっかけは韓国映画『完璧な他人』。
2018年に公開され、韓国中を笑いの渦に巻き込み大きな話題に。
「早く日本で見られるようにならないかなぁ」と思っていた矢先、
じつはイタリア映画『おとなの事情』のリメイクとわかりました。
Netflixで配信中だったので、早速観ましたよ!
上映時間が約100分とは思えないほど、ぎゅぎゅっと大人の秘密に溢れた映画でした。
さっそくレビューです!
【あらすじ】
月食をみようと、幼なじみの男4人とそれぞれのパートナーが家につどう。
コシモとビアンカは新婚さん、思春期の娘の異性関係に悩むロッコとエヴァ夫婦、義母も同居し2人の子を育てるレレとカーロッタ夫婦、そしてバツイチ独身男のペッペ。
残念ながらペッペの恋人は熱のため欠席したが、皆おいしい食事に舌鼓をうっていた。
そんななか、エヴァの提案であるゲームを行うことに。
皆の携帯をテーブルにだし、以降かかってくる電話やメールを皆にみせるというゲームだ。
「秘密はない」とゲームをスタートさせたのもつかの間、さっそく不倫を疑わせる不審なメッセージが届く・・・
【ネタバレ考察】
予想だにしなかった秘密
どこにでもいるんですよね、尻軽男w
やっぱり最初は、尻軽男の携帯がなります。
それを合図に不倫や浮気がやり玉にあがり、次は義母や娘との親子関係、そして夫婦たがいの秘密にうつり変わります。
そこらへんまでは予想できました。
そのあとにまさかの秘密が暴露されるんです!
まさかこんなにも、心をえぐられる秘密があらわになるとは。
悲劇としか言いようがないですね。
【ラスト・結末はどう解釈する?】
赤い口紅をひき、食事会をでる新妻ビアンカ。
そのあとを追うようにでてくる夫コシモ。
ふたりの姿を違和感たっぷりで観ていたら、やっぱり何事もなかった様子で解散する皆さん・・・
ロッコにむけたエヴァの、「どうしてゲームをとめたの?」という一言で気づきます。
え?ゲームしてないの?
そうなんです。ここがモヤモヤします。
個人的にはゲームは行われていて、あのエンディングはゲームをしていなかった場合のエンディングだよと解釈していました。
ですが結論、どうやらゲームは行われていないそう。
パオロ・ジェノベーゼ監督のインタビューで
「いやいや、実際にはゲームはやらなかったんだよ。もし、やったらこうなったというのを描いたんだ。何にもなかったようにして、秘密を抱えたまま、みんなは別れていく」
Webサイト「cinefile」より
とはっきり否定w
では何を描きたかったのか?
「イタリアに生きるミドルクラスの人々を集約し、彼らの問題を通して、多面的にイタリアの社会を映し出していきたかったんだ」
「最初から4組のカップルを登場させたいと考えていた。そこでなぜ8人ではなく7人にしたかというと、ミステリアスな存在を作りたかったからなんだ。映画の最後で、なぜそのキャラが会食に参加しなかったのかが明かされるようにね。また、今回はあえて空席の場所から、現場の状況を撮影している。観客には、まるで自分が8人目のキャラクターになったように、感じてもらいたかったんだ。ちなみに、7と言っても7つの大罪とはまったく関係ないからね(笑)」
Webサイト『Real Sound 映画部』より
なるほど。
でも私が8人めなら、恐ろしくてしっぽ巻いて逃げてます。
たとえゲームが行われていなかったというオチでも、「秘密があらわになる過程」がとても秀逸!
それだけでも見る価値ありです。
監督が言っていたとおり、8人目になったつもりでぜひ「恐怖の暴露大会」にご参加くださいw
ちなみに監督のインタビュー全文も、非常に読みやすく、おもしろいです。
リンクを張っておくので、興味のあるかたはぜひ。
【リメイク祭り】
おなじ悩みはイタリア・日本だけではない様子。
映画『おとなの事情』の成功にともない、世界各国でリメイクされています。
私がこの映画を知るきっかけとなった、韓国『完璧な他人』だけではなく、
トルコ・スペイン・フランスでもリメイク済みです。
ちなみに、フランス版となる『ザ・ゲーム~赤裸々な宴~』はNetflixにて配信中。
韓国版はほぼオリジナルと同じなんだとか。
公開が楽しみです。
※※ 追記 ※※
ついに韓国リメイク版『完璧な他人』を観ました!
⬇こちらは「記憶を失った男」と「彼の失った何かを知っている女」のミステリー