全ての答えは小説にありました。
先日鑑賞したNetflix映画『もう終わりにしよう。』の原作同名小説を読み終えました。
皆さんがおしゃっていた通り、小説のほうがだいぶスッキリと全体像が書かれており、
この小説の世界は一体なんなのか?
彼は死んだのか?
彼女は誰なのか?
の答えがはっきりと書かれています。
ほんとうに読んでよかった!!
temitaをはじめ、映画で迷子になった方。
この記事で解説いたします。
※この先は完全に小説のネタバレになっております。
これから小説の世界を楽しまれる方、映画を観て進んで迷子になりたい方は、鑑賞後にぜひいらしてくださいね。
ネタバレ考察
結論 彼女や実家訪問の話は、すべてジェイクの想像(物語)
そうなんです。
小説の内容はジェイクが「自死」をおこなうまでの物語。
ジェイクが頭の中で、やり直し(検証)ている人生を物語に仕立てた小説です。
小説冒頭の「彼女」は、ジェイクが学生時代に実際にバーで出会い、声を掛けられなかった女性。
もし彼女に電話番号を渡し、付き合っていたら、どんな人生になっていただろうか?とジェイクが頭の中で検証しているんです!
なぜ検証に彼女の存在が必要なのかというと、今までいろんな人物を登場させ、孤独にならないパターンを検証してきたけど、やっぱり孤独。
だったら、あのとき声を掛けられなかった可愛い「彼女」とうまくいっていたら
孤独は避けられたのかという実験をしてみたわけです。
ジェイクは孤独に耐えられなかった
なぜジェイクは用務員をしながら、自分の人生を検証していたんでしょう?
ジェイクのこれまでの人生を、拾ってゆきます。
じつは「ジェイクには弟がいる」と実家からの帰宅中に、彼女は知ることになります。
その弟はジェイクから見ると、もとから極端に孤独を好にみ、人付きあいは難しいタイプ。
正教授になる道を進んでいたが、環境に適用できず自ら職をやめました。
仕事はできるほうだが、同僚とのやりとりがからむ全てのことが大きな負担だったそう。
新たに仕事を探すにしても、発表などなく、目立たずに居られる仕事でなければダメだったと描かれています。
しかしですね。なんとこの弟は、ジェイク本人であるとラストでタネ明かしされます。
ジェイクは正教授になれるほどの人材だったのに、「人付きあいが苦手」という孤独から
逃れられなかったんですね。
しかも、その「人付きあいが苦手」という性格。
学生時代からのもので、目立たない存在がゆえ辛い思いでがあるように記述されているところもありました。
ジェイクのノートが『もう終わりにしよう。』である
小説冒頭に
結末はそもそも書いてあったのかもしれない
ー小説『もう終わりにしよう。』(P.8)
と書かれています。
「書いてあった」という表現があるように、やっぱりこの小説はジェイクのノートそのものです。
私達はあるひとりの男性の脳内会議(妄想)を、覗き見ていたということですね。
注意 ネタバレ要約
ネタバレ要約を載せておきます。
自分で読みたい方は飛ばしてください!!
↓ネタバレ要約
ジェイクは学力は優秀で成績もよかったが、人付き合いが苦手だった。
人間関係を円滑にするために、会話に加わることなどがどうしても出来なかった。
その性格がもっとも最悪な状況をもたらしたのは、社会ではなく学校だった。「目立たない」ということは、「存在しない」ことになるからだ。
研究者として職につくも、やはり人間関係で自らやめることになる。
その後高校の用務員になる。
学生時代のバーで出会った彼女が忘れられなかった。たった一言を交わしただけだ。電
話番号を渡したかったが、出来なかった。
その後長い年月が流れた。そのあいだにジェイクは、ノートに物語風の記録をつけ始める。家族や本人も登場する。
おそらくじぶんの人生を振り返り、どうして研究者の道に残れなかったのか?残る方法はなかったのか?と何度も検証していた。
そして、もしあの「彼女」が人生に加わっていたら、人生が好転したのかを検証しはじめた。
小説冒頭に「結末はそもそも書いてあったのかもしれない(P.8)」と書かれている。
そう。自死をするという結末(検証結果)は、彼女との関係がうまくいくことにより覆されるのか、ずーーーっと検証されたいたのだ。
問いはただひとつ。その答えと結果は彼女によってもたらされた。
映画との相違点
ここで映画との相違点をあげておきます。
- 車中の難しい会話がない
- 実家で両親の過去・未来をみない
- ミュージカル『オクラホマ!』の知識不要
この3つは内容の理解に大分貢献しておりますw
とくにミュージカル!
これで観覧中思考が止まった方も多かったのではないでしょうか?
間違いなく、temitaもその一人です。
では小説はどのような構成かというと…
事件発覚後の第三者の会話と、彼女たちの物語の2つの視点から作られております。
特に第三者(おそらく警察)の会話が、ことの真相を冷静に的確に表しているのでわかりやすかった!
ということで。
Netflix映画の原作『もう終わりにしよう。』を簡単に解説して参りました。
映画が超難解だっただけに、小説のシンプルさにとても感動しましたよ。
とくにミュージカルあまり観ない民にとっては、
このタイミングでミュージカル入れるの!?
と、後半の演出には置いてけぼり感が凄かったですからw
ただ「やたら新しいブランコ」の意味は解明できませんでした。
もちろん小説にも登場するのですが、ほんの数行で終わります。
北米の方にとっての庭のブランコって何か特別な意味があるのでしょうか…
(作者はカナダ出身)
全282ページのちょど良い厚さの原作で、日本語訳もいっさい不自然さがないのでとても読みやすい一冊。(気になる方は、こちらのリンクからどうぞ)
なにより『もう終わりにしよう。』という、日本語タイトルが秀逸です!完璧。
(個人的に最日本語タイトル賞をあげたいw)
ぜひご自身で、謎の答えを探してみてください!