韓国映画

【本当に火を放ったのは誰か】映画『バーニング 劇場版』 ややネタバレあらすじ

ビニルハウスを焼いた本人は、さらりと罪を告白するうえに、次回予告までします。

しかし一向に起こらない「予告」。

 

次は自分自身のごく近くで起こると言われた主人公・ジョンスは、

翌日から必死で「焼け跡」を探すのですが…。

 

彼は本当に、ビニルハウスを焼いていたのでしょうか?

本当に火を放ったのは、いったい誰なのでしょうか?

《追記》

祝!スティーブ・ユァン、2021年アカデミー賞主演男優賞ノミネート!(映画『ミナリ』)

【あらすじ】

小説家になりたい夢を持ちながらも、小売バイヤー向けの運び屋バイトをしている、イ・ジョンス(ユ・アイン)。

仕事中、突然「憶えてる?」と声をかけてきたのは、幼少期同じ土地で育ったチョン・ヘミ(チョン・ジョンソ)だった。

急速に距離を縮める二人だったが、ヘミは貯めたお金でアフリカ旅行にいくという。

その間、ヘミの飼い猫・ボイルに餌をあげるようジョンスは頼まれる。

半月ほどたったある日、明日アフリカより帰国するので迎えに来てほしいとヘミから連絡がはいる。

向かってみると、ヘミはアフリカの空港で知り合ったという韓国人男性のベン(スティーブ・ユアン)を連れていた…

【感想】

結局ビニルハウスを焼いたのはだれか?

比較的、とても分かりやすい作品です。

ラストのオチも、ビニルハウスのメタファー(村上春樹っぽいw)も。

そして本格的なメイクボックスの存在の意味も、

引き出しの中にあるブレスレットたちの意味も、すぐに気づきます。

あぁ そういうことか…と。

 

そして気づいた後に、ヘミの次にお気にになった女性とベンのシーンになるのです。

彼女のこの表情…秀逸!!

その時の彼女の表情が秀逸で、これから起こるコトを見事に表現しています。

…怖いTT

結局ヘミの家に井戸はあったのか?

ここ、気になりませんでしたか?

 

幼少期、自宅の井戸に落ちてしまったヘミ。

不運なことに何時間たっても誰にも気づいてもらえず、

泣きじゃくりながら空を見つめていたら

ジョンスが見つけて、彼女を救ってくれたという小話。

 

しかし奇妙なことに、救った本人のジョンスは覚えていない。

近所の人や、ヘミの家族に聞いてみるのですが

井戸なんてなかった発言とあった発言に、ヘミの周りは真っ二つに分かれます。

この「井戸問題」を登場させた意味ってなんでしょう?

ミカンが見える?

単純に考えると、「ヘミの人となり」に信憑性が出てきます。

この子は大丈夫なのか?と。

 

そこで思い起こさせるのは、ヘミとジョンスの再会シーン。

ヘミがジョンスに最近習い始めと、ミカンを食べるパントマイムを披露します。

その時ヘミは

「ミカンがあると思い込むんじゃなくて、ないことを忘れればいい。そうすると美味しく食べれる」

と発言します。

 

なんのこっちゃい。

なんと村上春樹なんでしょうか!w

この時点で、temitaは脳内がストップしかけてしました。

 

ですが、ここでこの「井戸問題」が出てきて、やっと光が見えてきます。

それは、「ない」ということを忘れるという、マイナス ✕ マイナスがプラスに転じ

「ある」ことがわざわざ思い込むまでもなく、現実的になるということ。

 

であれば、ヘミの「井戸問題」もあった・なかったが問題ではなく

井戸は存在していて、そこに落ちてしまったヘミを救ってくれたのはジョンスという話も

実は、今現在のコトを表しているのだと理解できる…はずw

(すでに村上ワールドに心が折れかけています…助けてTT)

都会と田舎、光と影 ※ややネタバレあり

都会と田舎、そして光と影をつかった表現が劇中ではとても印象的でした。

一番分かりやすいメタ… いや暗喩ですねw

幼少期も裸。最後も…

優秀な遺伝子(血筋)、どこからきてるか分からない余りあるほどの富(格差)をもつベン。

ジョンスが渇望しているものをすでにその手にしているのに

自分が愛する者を簡単に「消費する」行為。

そう、ベンにとってビニルハウスを焼くのは、大麻を吸うのと同じと発言していました。

 

これがきっかけとなったのでしょうか?

最後にジョンスは

富の象徴、血筋の象徴、そして嫉妬の象徴を焼き尽くすのです。

ビニルハウスに囲まれた場所で。

 

フォークナーの”Barn Burning”

そうそう。

劇中で作家のフォークナーが出てきてましたよね。

私は初めてその作家を知ったのですが、実はこのフォークナーも

村上春樹と同じく「Barn Burning(納屋を焼く)」という作品を発表しています。

(発表はフォークナーのほうが先)

 

気になって、フォークナーの「Barn Burning」を読まれた方のレビューやWikiのあらすじを読みました。

フォークナーの「Barn Burning 」で描かれている父親は、映画の父親そのものです。

粗暴なところがあり、自身が納得行かなければ権力にも逆らうあたりはそのままですね。

 

そして息子が血筋にあがなおうとする姿も、フォークナーの小説からきていると感じました。

 

生まれた環境による覆せない貧困、若者の就職問題など韓国の社会問題を

村上春樹の作品をベースに描いた映画『バーニング 劇場版』 。

 

内容はヘビーですが、俳優陣の圧倒的な演技力、そして美しい映像と表現豊かな音楽が

とても印象的な作品でした。

 

うん。ミステリーとしての落とし前も最高です!

こちらは実話ベース。韓国初の国民参与裁判で大どんでん返し!

【逃げたんじゃない。助けようとした】韓国映画『8番目の男』あらすじと感想韓国では2008年にはじまった、国民が裁判に参加する国民参与裁判。その記念すべき1回めの裁判で起こった事象を再構成した本作。裁かれる者、裁く者、意見を求められる者。そのどちらの立場にたったとしても、人の人生を変えるかもしれない「判決」を自分は下すことができるのか?と時におかしく、時に真剣に問うた作品...

COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です