ずっーーと観たかった、韓国映画『プリースト 悪魔を葬る者』。
「自分を救済している」映画でした。
宗教にうといので謎も残ってますが、息もつかせぬ展開はさすがですね。
さっそくレビューです!
あらすじ
交通事故により脳死状態になった女子高生ヨンシン(パク・ソダム)。
彼女が通っていた教会のキム神父(キム・ユンソク)は、悪魔に取り憑かれていると確信し、悪魔祓いを行いつづけていた。
しかしその悪魔祓いは困難をきわめ、次々と相棒となる司祭がやめていく。
困ったパク神父は、とある神学校に司祭候補をつけるよう依頼。
最終的に条件があった不真面目学生・アガト(カン・ドンウォン)が、補助司祭に選ばれお供することに・・・
過去の自分を救済
今はこっそり学校を抜け出してお酒飲んじゃうような、ザ・不真面目学生なアガト。
じつは幼い頃、妹を死から救えなかった経験があります。
その悔しさや懺悔の思いから、神学生になったわけです。
すっかりその動機を忘れていたようですが、この悪魔祓いに妹を救えなかった過去の自分を見ます。
一度儀式から逃げ出しますが、そこからの奮闘は「あの時の自分」と「救えなかった妹」のための戦いに感じます。
なぜ梅毒?
悪魔との戦いのなかで、キム神父とアガトは梅毒に冒されます。
そこで「なぜ梅毒?」と謎におもったのはtemitaだけではないようで、多くのレビューサイトやブロガーさんが疑問にあげてました。
そもそも梅毒とは、
『第一感染経路は性行為であるため性病の1つとして数えられるものの、妊娠中、出生時の母子感染による先天性梅毒もある。』
Wikiより
とのこと。
「第一感染経路が性行為」というのが、ポイントっぽいなとおもい、今度はフランシスコ会を調べると・・・
『フランシスコ会は、清貧と禁欲の生活を理想としており・・・』
同じくWikiより
と記載あり。
悪魔から梅毒になる仕返しを受けているということは、その禁欲の教えを破るという、信仰者としては屈辱的な仕返しをされていることを表しているんでしょうか?
『深淵をのぞく時、深淵もまたこちらをのぞいているのだ』
にぎやかな明洞の雑居ビルたち。
その隙間は、まるでそのにぎやかさから忘れ去られたような、ぽっかりとした「闇」が確かに存在します。
temitaも明洞で遊ぶたびに、「こんなところに古くからの小道が!きっと美味しい地元メシがある〜♪」と遠巻きにみていましたw
が、今回はその身近な「闇」がアガトに覚悟をもたらします。
そのシーンを観て、ニーチェの『深淵をのぞく時、深淵もまたこちらをのぞいているのだ』が頭に浮かびました。
「これは謎をとくキーポイントでは!?」と息巻いてニーチェについて調べましたが・・・
ニーチェの父は裕福な牧師(元教師)。
極度の近眼で、足元の子犬に気づかずつまずき、玄関先の石段からおち頭を強打。
それが原因で一年後に死去しています。
なんとなくアガトの設定に似ている気がしないでもない。
でもニーチェは大学生のとき、信仰を放棄し神学の勉強を止めており、反キリスト教的哲学者として有名です。
・・・なんか関係ない!?と意気消沈。
監督のインタビューからヒントを得る?
ニーチェ説がかすりもしなかったので、悔しくて一応調べたことは載せてみましたw
すみませんw
じつはその調べている時に、監督チャン・ジェヒョンのインタビューを発見!
わからないことが多いので、素直に読みましたw
基本的にヨンシンの台詞は聖書の文を多々借用した。何よりも悪魔という存在をいかに描写するかが重要だったが、これは『※動物の王国』を観て考えた。獅子が子鹿を捕食するシーンがあったが、親の鹿は脇目も振らずに逃げたのだ。その反面、人間は自分が犠牲になると分かっていても他人を救うのだ。ある側面では動物のほうがむしろ論理的だと感じた。それで、悪霊がより正確な数字と論理的な言葉を用いるようにと描写した
人間を一番肯定したかった。台詞としてもちゃんと言っている、「我々は人間を肯定する」と。キム神父も、チェ助祭も、悪魔をつかまっているヨンシンも犠牲を払ったのだ。その犠牲が、悪魔を一番怖がらせるのだと思う
ともにブログ『プリースト 悪魔を葬る者』で、アガトは何を歌っていたか チャン監督インタビュー より
とのこと。
注目すべきは1つ目の引用。
・・・おや?この状況は、妹の死に直面した時のアガトではないでしょうか?
何かみえてきた気がしますね・・
素直に読んでよかったよw
結末やいかに ※ネタバレなし
さて、映画の世界へ。
覚悟をきめたアガトは再びキム神父とともに、悪魔との戦いに身を投じます。
描かれた結末は、個人的には納得できました。
ただ、「悪魔の予言」があります。
あの予言たちは、現実のものになったのでしょうか?
女子高生の身に起こった出来事は、どう説明されるのでしょうか?
ブタちゃんはどうなったのでしょうか?w(写真のブタちゃん。一番かわいかった❤)
謎は多く残れど、着地点と展開には満足な映画『プリースト 悪魔を葬る者』でした。
女子高生役のパク・ソダムちゃんの名演技はこちらでも!