Netflixオリジナル『事件現場から セシルホテル失踪事件』を観終わっての考察を書いていきます!
完全ネタバレでアレコレ書いております。
これから鑑賞する方はご注意ください!
ネタバレ考察
失踪も遺体発見も、セシルホテルだった
そもそも、この失踪事件すら分からなかったtemita。
予告で一人の女性の失踪事件を追うと知り、なぜこの失踪事件だけ大々的に注目を集めたのだろうと疑問に感じました。
なぜなら、アメリカでは毎日多くの失踪者が報告されていると聞いていたからです。
この失踪事件が多くの注目を集める理由は、
- 失踪も遺体発見も、セシルホテルだったこと
- そのセシルホテルの過去が、偶然にも物騒で血塗られた事件が多かったこと
- そしてエリサのエレベーターでの映像が、あまりにも衝撃的だったこと
この3点が偶然重なり合ってしまったのが、大きな理由。
そしてそこに、エリサの病気や死に至るまでの情報の少なさなど
いろんな要因が少しづつ絡まり、ますます人々が好むストーリーに成長してしまった感じがします。
冷静に考えると、②ホテルの過去なんて全く関係ないですよね。
おそらくそれだけホテル周辺は危険な人が昔から多いことが、エリサ他殺説の背中を押した要因の1つです。
連続殺人犯たちが定宿にしていたことは、エリサの事件には全く関係ありませんでした。
もちろんオカルト的なことも全く無関係です。
死因は不慮の事故死、病気が誘因
警察、YouTuber、ミステリ好き、一般市民。
皆が生存を祈りながらエリサを探すも、セシルホテルの貯水槽ですでに亡くなった状態でエリサは発見されます。
検視官はあらゆる可能性を考慮し、時間かけ出した結論は不慮の事故死。
飲むべき量の処方薬を服用せず、誰かに追いかけられる「ストーリー」の中で誤って貯水槽に転落し溺れたという見立てでした。
これが、あらゆる物的証拠や検死結果から導き出せる答えの限界なんでしょう。
ただ誰も「指紋」について触れていなかったのが不思議です。
屋上へ上がった時に掴んだ外階段や、転落したときに開けた貯水槽のフタ。
これらにエリサの指紋はついていなかったのでしょうか?
(YouTuberたちが屋上を撮影した時に、貯水槽周りにはっきりと複数の手形が残っていた)
もちろん指紋なんてとっくに調べ終えての、警察発表だったと思いますが。
私も少しだけ滞在していたことがあるのですが、ロサンゼルスは通年天気が比較的安定している地区です。
有名なドラマ「24」。
このドラマは1シーズンで24時間(1日)を描くため、天気がころころ変わってはまずいとLAで全編撮影されたほど。
そのくらい長期に渡って安定しているので、外にある指紋も採取できたりしなかったのでしょうか??
結局シリーズ内でも、エリサがどうやって屋上にアクセスしたかははっきりと提示していません。
そしてYouTuberの1人が、
「銃を突きつけ脅されてタンクの中に入り、溺れたら他殺ではないのか?」
という主張も今回のシリーズ内での警察の主張では、全く触れられていませんでした。
ネタバレあらすじには書いていませんが、通常タンクのような場所で転落溺死をすると
発見時はうつ伏せの状態が多いそう。
しかしエリサは仰向けで発見されています。
(水位の変動が仰向けにしたのでは?と推測されています…本当?)
裸だったのも低体温症だとみられる行為だといいますが、
立ち泳ぎしながら着ている服を全て脱ぐのは、不可能ではないのでしょうか?
「人々のせいで都市伝説化してしまった」という表現がありましたが、
警察からの情報開示が少ない&疑問をもたせる内容だったこと、それが「ミステリー化」要因と考えられます。
生きてる人間が一番怖い
何より怖かったのが、生きている人間です。
とくに、集団心理のはたらいた人間たち。
モービットをあれだけ傷つけ攻撃しておきながら、誰も謝罪はしていないという現実。
シリーズのなかでもYouTuberたちは、「モービットこそ犯人」と興奮気味に正義を振りかざし大いに語ります。
しかし結局犯人ではないとわかると、テンションだだ落ち。
「あの状況だと、そう思ったんだよねー」みないなノリなんですよ!
いや、まず謝れよ!
すみません。つい心の声が…
シリーズ内でもLAPDは「彼は無関係」とはっきり証言していますし、公式発表も「事故死」です。
とうとう今回のシリーズ最後まで、YouTuberやミステリ好きは誰一人として謝罪は口にしていません。
いや、まずあやま…(自重)
言葉の暴力はとても残酷。
彼は今も苦しんでいますが、命があって何よりです。
彼自身も「自分もセシルホテルの被害者だ」と語っています。
今回のシリーズで、名誉が回復することを願ってやみません。
失踪者数
年間86,933人。
そう、失踪者の数です。
アメリではありません、日本の年間失踪者数です。
(令和元年における行方不明者の状況 警察庁HPより)
アメリカはもっと多いのでは?と思いましたが、
2019年は87,438人です。
(2019 NCIC Missing Person and Unidentified Person Statisticsより)
あれ?ほぼ変わらない?
びっくりしますよね。
私もアメリカが日本より多いだろうと思っていたから。
失踪する年代も日米ともに、20代以下が全世代で最多です。
しかし、アメリカでも実際の失踪者数はもっと多いと考えられています。
なにより未成年の失踪が後をたちません。
理由は性搾取の人身売買が多く、社会問題化している背景があります。
そこに声を上げるだけでなく、実際にアプリを制作し誘拐された未成年たちを救っている俳優がいます。
アシュトン・カッチャーです。
「はじめに、オークランドに住む15歳の女の子、エイミー(仮名)の話をしましょう。
エイミーはある日オンラインで男と出会い、チャットを始めました。
少しすると、男は彼女に実際に会いたいと言い出し、数時間後にその男と会った彼女はそのままレイプされ、性的搾取のために無理矢理人身売買されてしまったのです。
このような事例は世界中で頻発しており、特段稀なケースではないのです。
でもたった一つだけこのケースが特例なのは、エイミーは売られた3日後に帰宅できたから。これは、我々が開発したソフトウェア『Spotlight』の成果です」
「子どもたちを救う命綱を」──先進科学で人身売買撲滅に挑む俳優、アシュトン・カッチャー。【社会変化を率いるセレブたち】より抜粋
ラブコメ好きな方なら、何度となく出演作をご覧になった方も多いのではないでしょうか?
temitaも今回記事を作成するためサーチしているときに、初めてアシュトンの社会活動をしりました。
(昔はイタズラ仕掛ける番組とかやってたのに…意外に大真面目だった説)
このアプリは「自分が今危険な状況にある」とわかる人には有効。
エリサも「追われているストーリー」の中だったなら、このアプリは有効だったかもしれません。
日本での失踪理由は、疾病(認知症など)が最多。
このような、「自分が危険な状況」だとわからない方の失踪もカバーできるアプリも、開発される日が近い気がします。
抜粋の元記事リンクを貼っておきます。興味のある方はぜひ。
ということで。
今回『事件現場から セシルホテル失踪事件』の考察をお送りしました。
事件の真相に納得したような…
しないような…
モヤモヤ感はゼロではありません。
自分が精神の病になることや、モービットを追い込んだ人々になってしまうことは
特別なことではないように思います。
いつでも、どこに住んでいても、誰の身にも起こりうることです。
だれもが簡単に情報を発信できるようになった今。
YouTubeがあったから突然攻撃され、命をおとしてしまう恐怖もあれば
ブログを残していてくれたからこそ、救われた命もある。
弱小ながら発信する側にいる私も、気をつけねばなと身が引き締まる思いです。
最後に。
エリサの今いる場所が、彼女にとって心満たされる温かなところであってほしいと願ってやみません。
ご冥福を心よりお祈りします。
<終>
↓現在、絶賛鑑賞中!薬剤師の息子が殺されたのは、偶然なのか必然なのか?