なんなんだ、この映画。
これがエンドロールが流れてきたときの、率直な感想ですw
少ない登場人物での、手に汗にぎるシチュエーション・サスペンス。
のはず。
【あらすじ】
郊外の豪勢な住宅に暮らすシルビア(ジェス・ワイクスラー)とマーク(ケラン・ラッソ)。
マークは製薬会社につとめる化学者、シルビアは画廊を営むため融資をつのっている最中。
じつはマークは同僚のショーン(ジェシー・ウィリアムズ)と共謀し、ライバル会社へ情報を売り、500万ドルを手にしたばかり。
その金をわけるため、パーティを装いマークは自宅へショーンとその恋人を招待した。
ぎこちない会話が続くなか、玄関のチャイムがなる。
隣に越してきたジョン(ジェイミー・バンバー)が挨拶にやってきたのだ。
シルビアはジョンを食事の席へ誘う。「では一杯だけ」と加わったジョン。
しかし次第に誰もしらないはずのシルビアやマークの素性をはなしはじめる・・・
【なんなんだ、この映画】
なんどもスミマセンw
映画をみおわってすぐの感想がこれです。
とくべつなどんでん返しがあったわけでもなく、詐欺師の親分が意外な人物だったとかもなし。
というか詐欺師の素性も、詐欺師がどこから産業スパイの情報を仕入れたのかも不明。
たまたま巻き込まれたショーンの恋人の盗みもとがめられず、成功する。
庭師もナイスな仕事をし、職を失うことになるも笑顔をみせ終了・・・
【今日一日どうだった?】
スミマセン、挽回しますw
さて英語圏ではよく耳にする、「今日一日どうだった?」。
帰宅したマークにきかれたシルビアは、「ベローを読んでいた」と答えます。
このベロー作品。
じつは詐欺師であるジョンもお気に入り。ベストは『フンボルトの贈り物』だと、シルビアに伝えます。
ここで少しジョンとシルビアの距離が縮まり、ジョンはシルビアを話のわかる女性だと確信するわけです。
しかしシルビアは、手元にある『悲嘆の死』がベストだと主張するんですね。
そして、最後には無理やりジョンのもとへ、この『悲嘆の死』は送られますw
(どうのように手元にわたるかは、次項でのお楽しみです)
【あの本。ベローの『悲嘆の死』の役割】
映画のなかで、印象的に使用されているソール・ベロー『悲嘆の死』。
ソール・ベローはノーベル文学賞を受賞してる作家さん。
日本でも多くの翻訳が出版されています。
ただ、今回の『悲嘆の死』は残念ながら翻訳されいないんですよ。
残念。
誰がレビューあげていないかな?と祈るようにグーグル先生で検索。
なんと!
英語版を読まれた方のレビューがあったので、それを読ませていただきました。
ありがたや〜
植物学者の大学教授が主人公。
彼のことを師と仰ぐ甥の助教授の視点も織り交ぜられた小説。
社会的に地位の高いひとでも、男女問題はひとしくあり、
皆とおなじような失態をくりかえすことを描いているそう。
シルビアは、あえてこの本が素晴らしいとジョンに主張していました。
芸術を愛し、自身の生活に共存させようとしていたところや、
夫マークとの子供を望んでいたところからも、まるでこの本はシルビアを象徴しているようなもの。
しかし、夢はさめてしまうわけです。
シルビアはマークから衝撃の現状をききます。
借金が発覚するのです。
シルビアは、しらぬまに家を担保にされていたコトを知ります。
借金の穴埋めになるはずだった、夫の計画が失敗。
しかも夫はシルビアが望むコストのかかりすぎる生活の維持のため、犯罪に手を染めたといいます。
うーーーん、結局人のせいなんですね。
夢から覚めたシルビアも、「私のせいなんですね」と思ったかはわかりませんが、
決意し行動するまでが早かったw
破産が現実のものになると確信すると、さくっと離婚を決意。
庭師にたのみ、『悲嘆の死』と入れ替え大金を手にし、あらたな生活のため車を走らせます。
そして、詐欺師のジョン。
シルビアに一杯くわされたジョンはフッとわらい、お金とともに『悲嘆の死』をカバンに収めるのです。
そこで流れる音楽の歌詞が、Money,that’s what I want。
わかりやすいw
【女と詐欺師が手に入れたモノ、男が失ったモノ】
結局、だれが得をしたのでしょうか?
女と詐欺師が手に入れたモノ、それはお金。
男が失ったモノ、それは命と家族。
こう考えると女性たちが得をしたのかも。
シルビアは自身の父親の経済状態も最悪なので、
ショーンの彼女が1番得をしたのかもしれません。
あのお金で奨学金は完済できますし。
棚からぼた餅ですね。
全体的に無駄な描写もなく、テンポよく展開する映画『カネと詐欺師と男と女』。
あの訪問者ジョンの「とんでもなく場数ふんでる」感の謎にもっとせまっていたら、もう少し違う印象のだったかもしれません。
最後の最後まで、映画のなかでの庭師の役割に頭をなやませる作品ですw
ここまでこの記事を読んでくださった方。
ね?「なんなんだ、この映画」って思うでしょ?w
⬇こちらはすっかり存在を忘れていた同級生から、直接家に恐ろしい贈り物がとどく映画