ホイッスルですよ、ホイッスル。
映画『タイタニック』のときもそうでしたが、
こんな古典的なモノが人の命をすくうことになるとは…
子供にもたせるのは、ホイッスルで決まりw
マイルドにネタバレしています。
鑑賞後に読んだほうが、楽しめるかも!?
【あらすじ】
仲のよいご近所さんバーチ一家と感謝祭をすごすべく家をでたケラー(ヒュー・ジャックマン)一家。
大人たちがたのしく過ごすなか、暇をもてあましたケラーの末娘・アンナとバーチ家のジョイが外に遊びにでたいと言い出す。
兄弟と一緒に外出することを条件に、遊びにでかけさせるケラー。
しかし何時になってもアンナたちは戻らない。
兄弟たちはアンナたちに声もかけられていないというではないか。
アンナの兄・ラルフが、散歩にでかけた際、不審なトレーラーが止められれていたことを思い出すが…
【ややネタバレ考察】
恐怖の予告
![f:id:temitakms:20191103130624j:plain f:id:temitakms:20191103130624j:plain](https://temitakms.com/wp-content/uploads/2019/11/20191103130624.jpg)
アメリカ映画のお約束(?)、不吉な予告シーンがやはり登場です。
過去にレビューした映画『ゲット・アウト』や映画『インビテーション/不吉な招待状』にも登場しますが、今回は狩りのシーンとして登場します。
このシーン、じつは主人公ケラーの性格や子供の頃を表現するシーンです。
ケラーが子供時代に、父親から「常に備えよ」と教え込まれ、それを忠実にまもっていること。
そしてそれを、自身の息子・ラルフにも教えこんでいるマジメなケラーが描かれます。
信仰にたいしても熱心であるため、監督は多くの観客に自分自身をケラーに重ねてほしかったのではないでしょうか。
そうすることにより、よりこれから起こる事件に入り込めますから…
ただ、ここで狩りのシーンは終わらないのです。
めずらしく、銃にて撃たれた後の鹿からの目線の描写がはいります。
上の写真とおなじ距離感で、ケラー親子をとらえたシーンです。
なぜこの描写が必要だったのか。
この疑問が、このあとこの映画を観るうえでのポイントとなります。
プリズナーズの意味
誘拐が発覚してそうそう、不審なトレーラーの運転者・アレックス(ポール・ダノ)は刑事・ロキ(ジェイク・ギレンホール)に捕まります。
しかし知能が10歳程度しかなく、精神的におびえてしまったアレックスは
事件にかんする確信的な証言ができる状態ではありません。
勾留期限がすぎ開放されるさいに、殴りかかってきたケラーに
「僕といたときは、泣いていなかった」と誘拐にかかわったことを匂わす発言をします。
しかもケラーにだけ聞こえるような、ささやき声で。
このささやきがきっかけとなり、ケラーの暴走がはじまります。
そこでおや?とおもったのが、映画のタイトル「プリズナーズ」です。
私をふくむ多くの日本人はおそらく、「囚人」を思い浮かべるとおもいます。
しかしいつまでたっても、囚人はでてきません。
(ケラーはもちろん、アレックスも前科者ではない)
この映画では「とらわれた人たち」という意味でつかわれています。
では何に「とらわれている」のでしょうか?
そしてなぜ複数いるのでしょうか?
【暴力の連鎖はとまらない】
![f:id:temitakms:20191103134404j:plain f:id:temitakms:20191103134404j:plain](https://temitakms.com/wp-content/uploads/2019/11/20191103134404.jpg)
娘ちゃんたちを必死でさがす、ケラー。
しかしアレックスのささやきにより、人間としての一線をこえます。
すこしネタバレになりますが、
写真のアレックスを拉致監禁し、娘ちゃんたちの居場所をはかせようとあらゆる手段にでるのです。
平凡で敬虔なクリスチャンが、愛する者のため向こう側へおちてゆく姿が痛々しく描かれます。
そこにいりみだれるバーチ家、刑事のロキ…
そしてアレックスにかんする、意外な真相がひとつあかるみになるのです。
ここで気づきます。
あれ。
これじつは、アレックスの人生もタイトルにふくまれているのでは?
じつは「とらわれる」は、漢字にすると2つで表現できます。
ひとつは「捕らわれる」。
「捕虜」につかわれるように、身体がとらわれることを意味しています。
そしてもう一つは「囚われる」。
こちらは「捕らわれる」と同じ意味もありつつ、思考の束縛・先入観にしばられるという意味があります。
この映画『プリズナーズ』は、そのどちらの意味も含んだ人間模様を描いています。
「囚われる」はケラーを。
そして「捕らわれる」はアレックスを。
すでにご覧になったかたはご存知ですが、
この2人以外も、「とらわれた」人たちが多く描かれます。
アレックスの叔父、誘拐されたアンナとジェイ、バーチ夫婦…
そして、そのおおくの人たちが、
「善と悪」表裏一体のギリギリのところで生きているのです。
これはブログ冒頭にかいた、「狩りのシーン」が示しています。
狩をする者は、だたたんに獲物をとらえたとおもっていますが、
獲物もまた、おなじ空間に存在し、おなじ距離・温度で狩人を見ているのです。
映画は一線をこえたケリーをメインに描かれています。
ポスターのコメントも父親にスポットをあてています。
たしかに思いがけないきっかけで、ケリーは犯罪者になってしました。
しかしそれはアレックスもおなじではないでしょうか?
彼も外からの要因で被害者になり、置かれた環境で犯罪者になってしまったわけですから。
いちど生み出された暴力はとまらない。
あらたな暴力をうむ。
映画『プリズナーズ』は、ともに「とらえられた」ふたりの物語です。
そして皆さん、ホイッスルの購入を忘れずにw
U-NEXTなら、31日間無料で鑑賞できます。
もちろん、映画『プリズナーズ』も配信中です!
(2019年12月現在)
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