なによりもまず、あの「世界一のポークサンド」が食べたくなる。
そんな映画です。
もちろんこのシーンは、運び屋とカルテルたちの距離がちぢまるきっかけとなる
重要なシーン。
しかしそんなことよりも、
ポークサンドを頬張ったときのフリオとサルの表情がたまらないのです!
あぁ 私もたべたい…
【あらすじ】
家族よりも仕事を優先し生きていたアール(クリント・イーストウッド)。
妻にも娘にも愛想を尽かされ離婚。
唯一のいきがいだった、デイリリーのビジネスも、インターネット販売のなみにのまれ廃業することに。
住む家すらもうしなったアールは、ひょんなことから「運び屋」をすることに。
ルールは荷物の中身を確認せずに、目的地にはこぶこと。
運転することが大好きなアールは二つ返事で仕事を受けた。
しかし手取りとしてわたされる金額のおおきさに不審をいだいたアールは、
荷物のなかみを見てしまう。
それは大量のコカインだった・・・
【考察】
アールは実在した
実話ベースで描かれた映画です。
クリント・イーストウッドが新聞で、この特集記事をよみ着想したそう。
実際のアールは、こちら⬇
「レオ・シャープ」氏。
なんとなく、クリント・イーストウッドに似ている・・・
そりゃ本人、主演もやりますね。納得。
写真をおかりした『NEW YORK POST』紙のウェブ記事をよみましたが、
映画はかなり事実に忠実に描いている印象です。
『NEW YORK POST』紙によると、
デイリリーの農場をネットビジネスに対応することが出来ず廃業。
運び屋をはじめたきっかけははっきりしておらず、
おそらく当時の従業員の紹介があっただろうとのこと。
ひとりで約1億円以上を運び屋として稼ぎ、その多くをフロリダにある園芸農園へついやしていました。
もちろん、デイリリー・ビジネスの復活のためです。
きになるのが「運び屋」をはじめた理由。
それは、「デイリリーもコカインも、人を幸せにする神の創造物だから」とのこと。
・・・ものは言いよう?w
逮捕後は仲間を裏切ることは一切せず、すべての罪をみとめ投獄されます。
しかし服役をして1年後、恩赦により自由な身となります。
じつは病名はあかされていませんが、もう末期の状態まで病におかされたのです。
釈放16ヶ月後の、2016年12月12日、この世をさりました。
⬇参考文献
デイリリーの存在
アールが家族よりもだいじにしてきた、デイリリー。
咲いた花が一日でしぼんでしまうため、その名がつきました。
あるシーンで、家族をかえりみず、デイリリーに時間をかけてきたアールへ妻ヘレンが不満をぶつけます。
アールは「一日で花が枯れてしまうのに、咲かせるまでに膨大な努力が必要だ」とつたえると、ヘレンは「家族だってそうよ」とかえします。
この映画ではデイリリーが「家族」の象徴としてもちいられています。
このデイリリー。
アメリカでは、その派手な色合いから大変人気。
育てやすく、丈夫なことが受け入れられたようです。
品種改良もさかんに行われており、毎年のように新種が発表されています。
この品種改良、だれにでもできるうえに、市場がおおきく、ヒット作になると
収入になるというアメリカ独特の構造もあるそうです。
なんとアメリカのカタログには、花のおおきさだけでなく、採取できる種の数まできさいされているんだとか!
⬇『ヤサシイエンゲイ』さんにわかりやすく記載されております。
そりゃあアールさん。夢中になるのもわかる気がする・・・
【時間はとりもどせない。買うこともできない。】
裁判所でのアールの言葉です。
人生では、「家庭のそとで評価をえること」。
これが大事だとデイリリーの栽培に時間をささげてきたアール。
一度すべてを失ったとき、家族の大切さに気づきます。
しかし、家族との歩みよりの機会が突然おとずれます。
よりによって、大事な取引の道中にです。
だいじな妻が体調をくずし入院。
残念なことに先がながくないため、自宅にもどることになります。
この最後の看病が、アールと家族の歩み寄りのきっかけとなります。
有罪確定後、刑務所へ収監されるアール。
そこでもデイリリーを育てます。
まるで、ないがしろにしてきた家族との時間をつぐむように。
さすがクリント・イーストウッド監督。
先が短いうえに、家や家族をうしなった男性のはなしを、
飽きさせることなく、ときに軽快な音楽とゆたかな景色でサクッとみられる作品に仕上げています。
長年の軋轢が、そう簡単に解決されるはずはないとわかっています。
ただ最後に、デイリリーをあらたに植えるアールがみせた清々しい笑顔と、
ポークサンドがわすれられない、映画『運び屋』でした。
(あと、ホワイトサンドも見てみたい)
⬇こちらはオリンピック候補選手が、カジノビジネスで大成功した実話。
ケガの功名とはまさに彼女のこと!?